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  • 中村原田国際特許商標事務所

商標の類似、商品・役務の類似

1.概要

2.商標の類否

3.商品・役務の類否


1.概要

 商標は、基本的には自他商品・役務を識別するための識別マーク、目印等として使用されます。それらによって識別するときの判断・認識においては、人間が記憶・認識している何らかの五感によって互いに区別するものとなっており、一般的にはその五感中の特に視覚、聴覚、知覚が識別するために働いているから、それらによって互いに区別しているものとなっています。もし、その目印等が互いに紛らわしいときには、それが付されあるいは表示された商品・役務の識別・区別が困難となり、商取引に混乱が生じることになります。こうした混乱を防止するため、紛らわしい表示・形態等は類似する範囲であるとし、その範囲内では共存する権利また使用は認めないこととしたものです。そしてこのような類否は、商品・役務に付される識別標識である商標(標章)相互間と、商品・役務相互間との夫々について考察されるものとなっています。


2.商標の類否

 商標の類否判断は、商標の有する外観、称呼、観念の夫々の要素を総合的に考察し、また商標等が使用される商品・役務の主たる需要者すなわちその専門家であるか否か、老若・男女の相違、分野その他に応じた取引の実状等を考慮し、その商品・役務の需要者・取扱者等の通常の注意力を基準として判断されることとなっています。

 外観とは目で見た感じで似ているかどうか(視覚的要因)、称呼とは口で呼ぶとき、耳で聞いたとき等の感じで似ているかどうか(聴覚的要因)、観念とはその商標から生じる印象の感じが似ているかどうか(知覚的要因)等に起因して考察される類否判断の要因です。これらのうちの一つでも類似するとされた場合には、多くの場合、商標として類似すると判断されます。

 その基準については特に定められてはいませんが、一般的には、対比される商標同士が同じ商品・役務あるいは類似する商品・役務について使用された場合に、夫々が異なる出所であったとしても同一の出所であると混同するほどに似ている場合に、これらの商標は相互に類似するとされています。例えば「井」と「#」とは外観類似とされ、「桜(サクラ)」と「佐倉(サクラ)」とは称呼類似とされ、「桜」と「チェリー(cherry…桜の意味)」・「(桜の図)」とは観念類似とされます。

 またこれらの要因による類否判断の基準は絶対的なものではなく、日々に見直されており、具体的な類否判断には種々な要素が加味されています。


3.商品・役務の類否

 また商品・役務の類否判断は、比較される商品・役務が生産部門、流通部門、販売部門、原材料および品質、用途、需要者等の範囲において一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうかその他を総合的に考慮して行うこととされています。具体的には、特許庁商標課において作成した「類似商品・役務審査基準」によるものとされ、この審査基準では相互に類似するとされる商品・役務の範囲を類似商品・役務群としてまとめて示しています。すなわち個々の商品・役務に類似群コードを付しており、付されている類似群コードが同一であれば、それらの商品・役務は類似すると推定されています。例えば薬剤(類似群コード…01B01)に属するものは全てが基本的には類似するとされていますが、この薬剤は化学品(類似群コード…01A01)とは類似しないとしています。同様に、アクセサリーとしての身飾品(類似群コード…21A01,21B01)と服装品としての被服(類似群コード…17A01~17A04,17A07)、清涼飲料・果実飲料(類似群コード…29C01)と茶(類似群コード…29A01)・コーヒー及びココア(類似群コード…29B01)、駐車場の提供(類似群コード…39K02)と駐車場の管理(類似群コード…39K06)、宿泊施設の提供(類似群コード…42A01)と飲食物の提供(類似群コード…42B01)とは夫々類似しないとされています。

 なおこの類似群コードは、商品・役務の区分に関係なく、個々の商品・役務夫々に個別に付与されています。またその類似範囲は新規な商品・役務が生じていること、取り扱われる生産・流通・販売・需要の各部門等に変化があること等によって変更されることがあります。




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