1.はじめに
2.特許・登録
3.権利の内容
4.商品開発に際しての注意点
5.意匠・商標とその周辺の権利
6.法的な紛争
7.その他
1.はじめに
特許法 発明:自然法則を利用した技術的思想の創作、高度なもの
(物[プログラム等を含む]、方法、物を使用する方法、物を生産する方法
※ビジネスモデル特許)
実用新案法 考案:自然法則を利用した技術的思想の創作、物品に係るもの
(物品の形状、構造、組合せ)
意匠法 意匠:物品の美的外観
(物品・部分の形状、建築物、画像等の模様、色彩)
[部分には、物品と一体の物品操作用画像を含む]
商標法 商標:(A)商品・役務の同一性を表示する識別標識
(B)文字商標・図形商標・動き・音・ホログラム・色彩・位置\個別商標・営業商標
商号商標\製造標・販売標\キャラクター商標
その他 (A)著作権法:精神的労作としての表現
(B)不正競争防止法:混同惹起行為\著名表示冒用行為等
(C)商法・民法
2.特許・登録
(1)要件
① 特許、実用新案、意匠
新規性(日本国内外での公知・公用、刊行物記載・インターネット掲載等のものを除く)を有すること
新規性喪失の例外(出願は喪失時から6ヶ月以内)
進歩性(意匠は創作不容易性-公知のものから容易に考えられないこと)を有すること
先願であること
② 商標
識別力を有する商標であること(商標・役務等の一般名、内容を表示するもの等は不可)
先行商標と抵触しないこと(他人の先願商標、内外国の著名商標と類似するものは不可)
(2)手続
① 特許(願書、特許請求の範囲、明細書、要約書、図面・・・電子化)
出願-出願公開(1年6ヶ月)
補償金請求権
審査請求-特許査定-特許料納付-特許-特許公報掲載(特許異議申立制度は無効審判制度に一本化)
② 実用新案(願書、実用新案登録請求の範囲、明細書、要約書、図面・・・電子化)
無審査登録(形式上の方式審査のみ)(・・・出願時の登録料の納付、約5・6ヶ月後の登録)
-登録-登録公報掲載(出願公開・異議申立なし、無効審判の蓋然性は高い)
登録後でも出願日から3年以内に特許出願に変更可
③ 意匠
出願-登録査定-登録料納付-登録-登録公報掲載(出願公開・異議申立なし)
④ 商標
出願-登録査定-登録料納付-登録-登録公報掲載(登録異議申立・・・掲載日から2ヶ月)
※ ①、③、④につき審査状況によっては
-拒絶理由通知-意見書・手続補正書-拒絶査定(特許・登録査定)-不服審判-訴訟
3.権利の内容
(1) 実施権・使用権
他人の実施・使用の排除(独占的な実施・使用)
侵害の停止及び予防、損害賠償、不当利得返還、信用回復処置、刑事罰
(2) 通常実施権(通常使用権)、専用実施権(専用使用権)の設定
独占・非独占とすることの定め
(3) 移転
(4) 発生及び消滅
※ 特許(登録) 特許等は特許(登録)日から独占権として保護される
※ 期間満了、審判による無効、取消(商標の不使用等)
存続期間 特許権 出願日を基準として20年で満了(特許日からではない)
存続期間延長登録出願
実用新案権 出願日を基準として10年で満了(延長なし)
意匠権 登録日から25年
商標権 登録日から10年(登録料の分納・全納)、更新可能
※ 特許後の特許異議申立
※ 商標登録後の商標登録異議申立
※ 実用新案登録から特許出願への変更(但し、条件あり)
4.商品開発に際しての注意点
(1) 適法な実施のために
① 公報調査、権利内容分析、競争製品の検討(特許表示、商標登録表示)
② 違法商品、模倣商品の取り扱いの禁止:販売のみでも侵害を構成
③ 独自商品の開発
④ 権利の譲り受け、実施権・使用権の確保、了解
⑤ 商品開発委託の注意点-権利の帰属を明確に
⑥ 新規商品採用時の注意点-特許・実用新案との抵触、商標チェック、登録確認
⑦ キャラクターの使用、商品化権に注意
(2) 模倣排除のために
① 早期の出願(特許・実用新案・意匠は出願前秘密に)、周辺技術(関連意匠)の保護
② 出願の検討
特許・実用新案(従来技術、目的、構成、実施の形態についての資料、発明・考案者)
意匠(6図面、断面図、使用参考図、実物写真、創作者)
商標(商標の決定、商品・役務)
③ 権利の適正な管理、特許・登録表示、年金納付
④ 外国における権利の保護
⑤ 専門家の利用
(3) 情報源として利用
特許電子図書館(Jーplatpat)の活用、公報の入手
特許・商標データベースの利用
(4) 職務発明の扱い
発明者は原始的権利者
従業者等に特許権等が帰属すると、使用者等には通常実施権(無償)が認められる。
使用者等に特許権等が譲渡されると、従業者等には相当の対価の支払いが必要
対価の額についての合理的基準
5.意匠・商標とその周辺の権利
(1) 保護の対象 法律
① 商標\サービスマーク 商標法
立体商標(必然的な機能は含まず)、動き、音、ホログラム、色彩、位置
② 商号 商法
③ 営業表示\商品形態 不正競争防止法
④ デザイン 意匠法
商品のデザイン
包装、容器のデザイン 意匠法
⑤ 著作物 著作権法
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法第2条の定義)
言語・音楽・舞踊・美術・建築・図形・映画・写真・プログラム
キャラクター
プログラムソフト(物の発明に含まれることになった)
記録媒体 特許法
(2) 各法の保護要件
① 特許法 権利保護の強化
侵害立証の容易化、罰則強化
② 実用新案法 早期の権利化と特許出願への変更
③ 意匠法 登録→物品、建築物、画像
⑤ 商法 商号の登記
⑥ 不正競争防止法 (A) 周知表示混同惹起
広く認識されていること、類似していること
他人の商品・営業施設・営業活動との混同
(B) 著名表示冒用行為
(C) 商品形態の模倣行為(デッドコピー)
適用除外(事実上不可避な形態、販売開始後3年経過したもの)
(E) 外国国旗・国際機関の標章等の商業的使用の禁止
(F) 営業秘密
秘密としての管理、事業活動の有用技術・営業情報、非公知性
(G) ドメイン名の保護
⑦ 著作権法 創作・発表
文化庁への登録(発生要件ではない、第三者対抗要件)
6.法的な紛争
(1) 権利者の立場から
① 警告 内容証明郵便
実用新案権の侵害の場合の評価書の提示、権利有効性の確認-無過失賠償責任、[権利行使の制限]
② 和解(裁判外の和解、即決和解、公正証書)
③ 仮処分手続(差止請求のみ)
被保全権利
保全の必要性
審尋
保証
対象物は執行官保管
④ 本案訴訟
差止請求
対象物の廃棄または標章の除去
損害賠償(喪失利益、(侵害者の販売数量×権利者の利益率)、(侵害者の利益の損害額に対する推定)、実施料相当額判断に際する適性水準の賠償額の認定)
不当利得返還
信用回復処置
⑤ 刑事手続
非申告罪
法人重課(法人の罰金額の上限として1億5000万円)
(2) 警告を受けた者の立場から
① 権利存在の有無、内容確認の調査
② 無効による権利行使制限の主張
無効審判[特許・意匠・商標、実用新案(評価書内容の検討)](特許庁)
③ 不使用取消審判[商標のみ](特許庁)
④ 判定(特許庁)
⑤ 仮処分手続における防御
(A) 非侵害(権利の抵触、意匠・商標の類似の否定)
(B) 保全の必要性なし(不実施、不使用)
⑥ 本案訴訟における防御
非侵害

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